周子「だから、あたしが逢いに往く」
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54:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 20:48:12.28 ID:XnGtX3Tv0

 急がば回れ
 紗枝と戯れつつ共に学んだその言葉を思い出す。
 楓との闘いの時ももう少し冷静だったら結末は異なっていたのだろうか。
 ならば今度は間違えない。

「ええよ、志希……連れてってくれへんか?」

「にゃはは〜その言葉を待っていた〜!」

 玩具を見つけた子供のよう。
 例の鼻歌と共にくるくると回り白衣の裾をはためかせる。

「じゃあ早速出かけよう!んふふ〜向こう行ったら何しよっかなー?テキトーに何か作って褒美替わりにラボもらってー、それでそれで〜」

 志希はおそらくこうなることも予想、いや、期待していたのだろう。
 準備万端と言わんばかりの荷物を解剖台の下から取り出す。

「シューコちゃんはどうする?何かしたいことある?」

 愚問だ。
 最終的な目的など、周子にとっては未来永劫変わらない。
 重要なのはそこに至るまでの道筋、そしてその手段だ。
 不可能なことなどあろうものか。
 必ずこの手で成し遂げる。



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