周子「だから、あたしが逢いに往く」
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10:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 19:00:24.60 ID:XnGtX3Tv0
「おっと、そろそろ街も近いからこの辺でええ?」

 紗枝が気が付くと、既に見慣れた街並みだった。
 葉に気を取られていたが気付かぬ内に随分と早く帰ってこられた。まだ空に一番星は見えていない。
 
「うん、おおきに……でもこれまだ書いてへんのどうしよう」

「ほんなら今日のところはそれあげるからまた今度遊びに来たらええ。ちゃんとそれ忘れんと持ってくるんよー」

 シューコは相変わらずの飄々とした笑顔でひらひらと手を振っている。
 紗枝はぺこりとお辞儀をして、街の中心へ走った。
 その木の葉を落とさぬよう、ぎゅっと握りしめて。
 

 結局、紗枝が家に着くとそこには婆や―紗枝の祖母が待ち構えており、久々の説教が始まった。
 小早川家の娘たる者お転婆は程々にしろだの、今は平和だから良いものの昔は危険な者がいただのと。
 他にも沢山聞いた気がするが見事に聞き流した。

 



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