俺は愚かな男だった
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6:名無しNIPPER
2020/05/03(日) 01:25:39.57 ID:Fl7pmNM80
林田さんは小悪魔だった。

一学期定期テスト前、西口さんは勉強のために部活を休んでいた。林田さんも西口さんも、学年でトップ10に入っているらしい。

西口さん曰く、「私は勉強しないとだけど、林田さんは本物の天才」とのこと。確かに、テスト期間になってもこうやって毎日部室に来て、それでもトップ10に入るのならよっぽどだろう。

「尾関くんはテスト勉強しなくていいの?」

「あー、まあ、はい」

赤点は取らない程度にしておけば良いだろうと。定期テストっていうには、授業のノートを暗記する作業にすぎない。入試や模試で活きる学力とは似て非なるものだと思う。

ということを、林田さんに伝えてみた。

「面白いこと言うのね、でも同感かな」

そう言って、林田さんは椅子に座ったまま伸びをした。

「にしちゃんとも、そういう話をいつもしてるの?」

「にしちゃん?」

「西口友梨ちゃんね」

「あ、いや、西口さんとはもっと馬鹿っぽい話というか……」

さすがに、林田さんの男事情で賭けてるとは話せない。ドラマや学校での出来事について話していると、お茶を濁した。

よく考えると、西口さんとは帰り道でよく二人きりになるが、林田さんと二人きりになるのはそうないことだ。意識すると、緊張し始めてしまう。

「ふーん、いいなぁ。私も尾関くんの話、聞いてみたいなぁ」

そんなこと、彼氏持ちだと知っていても林田さんに言われるとドキッとしてしまう。美人はずるい。

「ね、何か話してよ」

「何ですかその無茶振りは」

「にしちゃんばっかり尾関くんに詳しくなってずるい」

三年生で大人っぽく思ってた林田さんが駄々をこねる姿は、ギャップで可愛く思えてしまう。

数分ごねらたところで、今の彼氏が迎えに来た。なぜだか無性に寂しくなった。

「じゃあね、尾関くん」

隣にいつもいる西口さんは今日はいない。


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