もしもし、そこの加蓮さん。
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98:名無しNIPPER[saga]
2020/04/30(木) 21:23:58.23 ID:QqIdgo5i0

彼の言葉通り、アニバーサリーライブ後の加蓮は以前にも増して熱が入っています。
ポテトだったらからりと揚がるくらいです。
所属当初は液体生物と化していたダンスレッスンも、
最近は何とかヒトの形を保ったまま終える事が出来るまで成長を遂げました。

プロデューサーが封筒から企画書を取り出して加蓮に見せました。
社外秘の但し書きが添えられた表紙をめくれば、
そこに刻まれていたのはユニット名らしき横文字と、デザインされた図形。

 「トライアド……プライマス?」

 「お。惜しい、トライアドプリムス、だ。英語読みなら加蓮の言う通りだけどな」

 「三つの……プリマドンナのプリマで……三つの、一番?」

プロデューサーが目を丸くしました。

 「驚いたな。ラテン語とイタリア語が分かるのか」

 「プロデューサー、アタシを物凄いお馬鹿さんだとか思ってない?」

 「いや、そんな事無いけど……なんか歳下に負けるのって悔しいじゃん」


能ある鷹を気取るつもりも無いようですが、加蓮は教養のある娘でした。
幼い時分から読み、聞き、蓄えてきた知識を有機的に結合し、
一つの情報として纏め上げる行為を苦も無くやってのけます。

今回知識を引っ張り出してきたのは散々引っかき回した神話聖書の棚でしたから、
敢えて言及する気もありませんでしたが。


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