もしもし、そこの加蓮さん。
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84:名無しNIPPER[saga]
2020/04/29(水) 21:53:07.73 ID:SPkljqcV0

 「ほら。ここ、ここ。よく見ておいた方がいい」

 「えーと、フレデリカの次は……誰だっけ」

 「すぐ分かる。あの娘は――凄いよ」

言い終わらない内に、ステージを煌々と照らし付けていた照明が極限まで絞られました。
かつん、かつんと、わざとらしい程に緩やかな足音が暗闇の中に響いて、止まります。

ようやく次のナンバーを思い出し、加蓮はそのまま転げ落ちていきそうな勢いで手すりを掴むと、
乗り出すようにしてステージへと視線を注ぎました。


響き出したのは、ともすれば場違いなサウンド。
これまで続いてきたポップスを午睡の夢に変えてしまう、目の醒めるような電子音。
幾筋もの照明が悶えるかの如く明滅し、
主犯格のシルエットを乱雑に切り取っては撒き散らします。

あちこちで揺れていた光は息絶え、
不意に凪いだ海は沈黙を守り、雑音が消えました。


それから照明が正気を取り戻し、慌ててステージを照らし出す中。



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