もしもし、そこの加蓮さん。
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80:名無しNIPPER[saga]
2020/04/29(水) 21:01:22.90 ID:SPkljqcV0

けれど、そんなのは最初だけでした。

卯月が手を振る度、卯月が跳ねる度、卯月が笑みを浮かべる度、
彼女の存在感はどんどんと膨らんでいって、
会場を支配しているのはすっかり彼女になっていました。

それが錯覚だったのか魔法だったのか、
まだ胸に渦を巻いている熱が邪魔して、加蓮は答えが出せません。


 「プロデューサー」

 「ん」

 「アタシの曲、早めにお願いね?」

 「ああ。俺も頑張らなくちゃな」


二人はしばらく歩幅を合わせて、微かに響く歓声に耳を澄ませていました。



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