もしもし、そこの加蓮さん。
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76:名無しNIPPER[saga]
2020/04/29(水) 19:28:26.12 ID:SPkljqcV0

サイドポニーを揺らし、ふわふわのスカートを翻して。
両手でマイクを握りながら、こちらを見ていました。


錯覚です。
目立つ衣装を着ているとは言え、
薄暗い客席、その後列部に立つ一人を見つけ出すなど出来る訳がありません。
そんな事は数十分前まであの場所に立っていた彼女自身が一番よく理解しています。

けれど、何故だかそう思えてしまうばかりだったのです。


 『スポットライトに』 『Dive!』


周りが一斉にピンクの光を掲げ、加蓮はびくりと身体を震わせました。
興奮と熱気の入り混じった歓声。
一拍遅れてから、コールだ、と気付きました。

気付いたところでどうしようもありませんでした。
続くコールをおろおろと手を泳がせながら見送って、
こうなったらいっそ別に手筒でもいいかと思い切った時、手元が仄かに明るくなりました。
差し出されたピンクのサイリウムに隣を向けば、
彼は自身の分をひらひらと振りつつ、加蓮の掌にそれを握らせてきます。


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