もしもし、そこの加蓮さん。
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44:名無しNIPPER[saga]
2020/04/28(火) 23:20:55.79 ID:kH44I3Ym0

 ◇ ◇ ◆

特にダンスレッスンを終えた直後など、
加蓮はその辺りの浜に打ち上げられたクラゲと大差ありません。
自宅へ辿り着くどころか事務所へ顔を出す事すら到底叶わぬ夢でしょう。

ですから、どんどん床と同化してゆく加蓮を剥がして車の後部座席へ放り込むのは、
プロデューサーの大変重要な役目でした。
自立しない人間ひとりを運ぶのは途轍も無い重労働ですが、
どうして彼女がこうなってしまうのかをきちんと理解している以上、彼も文句は零しません。

 「お疲れ」

 「ひぇゆー」

 「人間の言葉で喋ってくれると助かる」

 「はいはい」

 「そのワガママ言う俺に付き合ってやるよ感も要らない」

 「はーい」

後部座席でだらりと横になりながら、加蓮は緩く右手を振りました。
本日の予定は全て消化済みだったので、彼女の自宅まで束の間のお気楽ドライブが始まります。


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