もしもし、そこの加蓮さん。
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263:名無しNIPPER[saga]
2020/05/10(日) 21:48:02.05 ID:7gnP6kF90

そして、彼が口を開きます。

 「……思い出したよ。何で、今まで忘れてたんだろうな」

開いた口元を手で抑え、確かめるようにもう一度、零しました。

 「……あるの?」

 「……どうなんだろうな。
  正直、加蓮の言うそれなのかは分からない。でも、一度だけ、不思議な経験があるんだ」

プロデューサーが重ねた両手をぎゅっと握り合わせました。
捕まえた感覚を、もう二度と逃さないかのように。

 「加蓮と逢った日だよ」



 「私と……?」

 「ああ」

言われて加蓮も思い出します。
ポテトを待っていたら、何故か物凄い勢いで入店してきたスーツ男。
少し霞みかけた景色に、記憶の絵筆でもう一度色を付けました。

 「ポテト全サイズ百五十円」


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