もしもし、そこの加蓮さん。
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212:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 22:21:29.95 ID:GVB5f6680

 ◇ ◇ ◆


何かの拍子に窓ガラスが鳴って、加蓮はゆっくりと目を開きます。


薄手のシーツに包まれていた身を起こすと、
そこに待ち構えていたのは薄闇の広がる病室。
またこれかと、加蓮は誰に遠慮するでもなく、大きな大きな欠伸を決めました。


すっかり病院と縁遠くなって久しい頃、
加蓮は時折こういった夢を見るようになりました。

目覚めるのはいつもベッドの上。
階や場所は違うものの、いずれも加蓮が寝転んだ覚えのあるベッドでした。
時間はいつも深夜で、加蓮の他に人影はありません。


最初こそ恐ろしくて泣き出しそうになりましたが、
今ではすっかりルーティンワークです。
パジャマとスリッパのまま病室を出て、夢遊病ってこんな感じなのかな、
だとか下らない事を考えつつ、眠くなるまでぺたぺたと病院内を歩き回ります。


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