【オリジナル】自殺したら僕だけを誉めない有名絵師の彼氏になった件
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58: ◆wqJOdKDc/.
2020/04/25(土) 10:30:38.02 ID:U1qw9Qt5O
。それとは別件で、TERIAさんから『次のりかりほ合同誌に参加してほしい』というお誘いもダイレクトメッセージで受けていた。
加えて彼女から『アシカ太郎さんの妹さんと、どうにかコンタクトが取れないものか』という相談も。

『どういうつもりだ?』
『次の合同誌へ、もし彼の遺作があるなら載せたいって考えてる』
『罪滅ぼしのつもりか?』
『……一応。家族の人が私をどう思っているのかはわからないけど』
『そっか、了解。アイツのフォロワーから「妹」と思しき存在の見当は付いている。俺の方でコンタクトを取ってみるよ』

妹もTwwitterを利用しているが、お互いわざわざそっちで会話はしなかった。
同じ屋根の下で暮らしているんだ、当然だろう。
ちなみに、TERIAさんが考える遺作の類は存在しない。
なので、今更「妹」と話をするつもりもない。
ましてや今の「僕」は、アイツにとって「兄の仇の彼氏」でしかないのだから。
不幸中の幸いなのは、オンリーイベントを中止にせざるを得なくなったことへの慰謝料、それが遺族へ請求されていないことか。

そして、僕自身も「また個人誌を出したい!」という想いが強くなっていった。

「となると誰でも合同2、TERIAさんの合同、アシカ太郎としての遺作、個人誌の原稿の四つか。ふふっ、やってやるぞー!」

もう何も怖くはなかった。
ずっとずっと僕だけが誉められず、除け者にされてきたことで出来た深い深い心の傷。
それがどんどん癒えてゆくのを実感していた。

『ところでさ、もし「表紙イラストを描いてほしい」って言うなら、なんぼでも描くからね』
『えっ!? ああ、ありがと』

これだって、生前の僕がどんなに願っても叶わなかったことの一つだ。
まあ彼氏ですし、尽してあげたいと思うのは当然か。

『でも、出来ることは自分でやりたいんだ。だから今回は遠慮しておくよ』

ただイラストも下手糞なりに描ける身として、やんわり断っておいた。
千載一遇のチャンスを棒に振る辺り、僕はどこまでもプライドだけが肥大した大馬鹿野郎なのだろう。

『そっか……わかった』
『きっとアイツだって、お前にそう言ってもらいたかっただろうな』

最後に戒めの言葉を一つぶつけて、パプリカさんやTERIAさんとのダイレクトメッセージのやり取りを終えた。


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