【オリジナル】自殺したら僕だけを誉めない有名絵師の彼氏になった件
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25: ◆wqJOdKDc/.
2020/04/25(土) 09:13:58.65 ID:U1qw9Qt5O


「はぁ、はぁ……嫌な、夢っ」

冷房機器をフル稼働させて、院内は適温に保たれているはずなのに。
目覚めたら寝汗びっしょりで、全身が気持ち悪かった。
スマホの電源は切ってから寝る主義な上、腕時計も目覚まし時計も持って来てはいなかったようで。
灯りが消え真っ暗闇の中、現在時刻がわからないのがモヤモヤする。
それでもカーテンの隙間から差し込む月明かりを頼りに、個室から抜け出して。
廊下をぼんやり照らす常夜灯に従って、トイレで用を足した。

昨年の八月末以来、一年近くずっと寝起きは最悪だった。

「僕だけが認められていない」
「僕だけが除け者にされている」
「僕を仲間外れにしないで」

意識が覚醒した瞬間、悲観的な感情が堂々巡りして。
仕事中は注意散漫になって、何度も上司から叱られたりカウンセリングを勧められた。
食事中は味覚が消失して、好きだったから揚げやチョコレートを食べても「美味しい」と感じられなくなった。
休日に自転車に乗って駅前までショッピングへ行っても、新商品に心躍ったり風を切る心地よさを忘れてしまった。
佐藤等から人間らしい心は、とうの昔に失われてしまったのかな……感受性がボロボロと剥がれ落ちて、最後にはフレームを残すのみになってさ。

りかりほ推しにとっての特別な日、アニメの一期で梨穂ちゃんが里歌ちゃんへ「大好きだよ」と告げた話が放映された日。
通称「大好きだよ記念日」に投稿されたりかりほ作品が、ある一人を除いて全てTERIAさんからリツイートされた。
もちろんその「ある一人」とは、僕ことアシカ太郎の小説で。
あの日受けた精神的ショックが、僕の心に決して癒えることのない深い深い傷を負わせたのだ。
トイレから戻って布団に入っても、自己否定のループで二度寝なんて不可能だった。
だけど今夜は脳の回路が変わったためか、すっと眠りに落ちることが出来た。


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