30:名無しNIPPER
2020/04/04(土) 14:26:46.99 ID:TJReGnPWO
どうして、どうしてみんながここにいるのだろう。桜も咲いていないのに、雨も降っているのに、そして…姉さんももういないのに、どうして集まっているのだろう。
31:名無しNIPPER
2020/04/04(土) 14:27:25.14 ID:TJReGnPWO
「そんなもん、お前がやるって言ったからに決まってんだろォ」
「うむ!そうだ!他の誰でもない『胡蝶しのぶ』がやると言ったから!みんな集まったのだ!」
いいのだろうか。姉さんのように優しくないけれど、姉さんのような笑顔じゃないけれど、桜じゃなくて梅のような私だけれど、それでもいいのだろうか。
32:名無しNIPPER
2020/04/04(土) 14:28:04.96 ID:TJReGnPWO
「胡蝶…」
あいも変わらず、冨岡さんは私に話しかけてくる。
「すいません、私をずっと中に入れようとしてくれていたんですね」
33:名無しNIPPER
2020/04/04(土) 14:28:51.37 ID:TJReGnPWO
「前にも言ったが、俺は梅が好きだ」
「へ?」
それはどういう意味だろう。そんなことはないとわかっているけれど、冨岡さんに限って絶対にないとはわかっているけれど、そういう意味かと思ってしまう。
34:名無しNIPPER
2020/04/04(土) 14:29:30.60 ID:TJReGnPWO
「と、冨岡さん、そんなこと言ってたら勘違いされますよ?」
「…だから、勘違いではない」
また絶妙に言葉が足りない。どっちの意味だろう。本当に、本当に彼は意味がわかっているのだろうか。桜よりも梅が好き、そんな人がいたとしたら…
35:名無しNIPPER
2020/04/04(土) 14:30:14.62 ID:TJReGnPWO
「あら?しのぶちゃん、どうしたの?顔が真っ赤よ、桜みたい」
「え!?いえ、べ、別に…」
甘露寺さんに指摘される。そんなに顔に出ていたのか、感情を制御できないのは未熟者。早く心を沈めなければ。
36:名無しNIPPER
2020/04/04(土) 14:31:09.83 ID:TJReGnPWO
「桜?いや、ここまで真っ赤だと…」
「うむ!まるで梅干しのようだ!」
「へェ、なんだそんな顔も出来んじゃねェか」
そっちの顔の方がずっといい。みんなが口々にそう言っているけれど、私には最後の冨岡さんの言葉しか聞こえなかった。
37:名無しNIPPER
2020/04/04(土) 14:31:41.33 ID:TJReGnPWO
「ほらな、梅は綺麗だ」
終わり
38:名無しNIPPER[sage]
2020/04/04(土) 18:31:57.46 ID:xaLizcvqO
激甘の呼吸
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