【鬼滅の刃】「桜と梅と」【ぎゆしの】
1- 20
24:名無しNIPPER
2020/04/04(土) 14:20:58.54 ID:TJReGnPWO
「すまない、遅れてしまった」
「え、えぇ…それは構いませんが…」

 そもそも誰も来ていない、これからも来ないだろうから遅刻など関係ない。



25:名無しNIPPER
2020/04/04(土) 14:21:30.02 ID:TJReGnPWO
「それよりどうしたんですか?そんなものを持って…」
「この辺りはまだ花が咲いていないから…花をもってきた…」
「冨岡さん…」

 だからと言って、木の枝を折ってそのまま持ってくるだろうか。いや、そうだ。そういう不器用だけど優しい人だった。だけど…
以下略 AAS



26:名無しNIPPER
2020/04/04(土) 14:22:04.42 ID:TJReGnPWO
「だから、それ…梅ですよ?」

 冨岡さんが持っていたのは梅だった。前にも教えてあげたのに…でもまあ、こんなところも冨岡さんらしい。いや、違う。これは正しく私ではないか。桜には決してなれない梅なのだ。頑張って頑張って、どれだけ頑張って実を結んでも、できるのは甘い甘いさくらんぼではなく、酸っぱい酸っぱい梅の実だ。



27:名無しNIPPER
2020/04/04(土) 14:23:55.16 ID:TJReGnPWO
「胡蝶…」
「いえ、いいんです。私は所詮、桜になれない梅ですから…」
「胡蝶、だから俺は…」

 口下手な貴方は、こういう時言葉を選んでくれますよね。だけど事実は覆らないから。どう取り繕っても事実は変わらない。


28:名無しNIPPER
2020/04/04(土) 14:24:34.78 ID:TJReGnPWO
「ほら、こんなことやめて早く中に入りましょう」
「いや、だから…」

 まだ何か言いたそうにしている冨岡さんを押して、中に入れる。こんなところで冨岡さんが話せるまで待っていたら風邪をひいてしまう。そう思って中に入ると…


29:名無しNIPPER
2020/04/04(土) 14:25:34.73 ID:TJReGnPWO
「おい、冨岡!いつまでかかってんだよ!」
「まずは雨で濡れているところを拭くといい…」
「本当にいつまで時間をかけるつもりだ?料理も冷めてしまうし、何より身体が冷えるだろう。風邪でも引いたらどうするつもりだ?貴様には柱としての自覚がないのか?そもそも…」
「しのぶちゃん!桜餅これくらいで足りるかな?」
「時透少年!これを飲むといい!」
以下略 AAS



30:名無しNIPPER
2020/04/04(土) 14:26:46.99 ID:TJReGnPWO
 どうして、どうしてみんながここにいるのだろう。桜も咲いていないのに、雨も降っているのに、そして…姉さんももういないのに、どうして集まっているのだろう。



31:名無しNIPPER
2020/04/04(土) 14:27:25.14 ID:TJReGnPWO
「そんなもん、お前がやるって言ったからに決まってんだろォ」
「うむ!そうだ!他の誰でもない『胡蝶しのぶ』がやると言ったから!みんな集まったのだ!」

 いいのだろうか。姉さんのように優しくないけれど、姉さんのような笑顔じゃないけれど、桜じゃなくて梅のような私だけれど、それでもいいのだろうか。


32:名無しNIPPER
2020/04/04(土) 14:28:04.96 ID:TJReGnPWO
「胡蝶…」

 あいも変わらず、冨岡さんは私に話しかけてくる。

「すいません、私をずっと中に入れようとしてくれていたんですね」
以下略 AAS



33:名無しNIPPER
2020/04/04(土) 14:28:51.37 ID:TJReGnPWO
「前にも言ったが、俺は梅が好きだ」
「へ?」

 それはどういう意味だろう。そんなことはないとわかっているけれど、冨岡さんに限って絶対にないとはわかっているけれど、そういう意味かと思ってしまう。



34:名無しNIPPER
2020/04/04(土) 14:29:30.60 ID:TJReGnPWO
「と、冨岡さん、そんなこと言ってたら勘違いされますよ?」
「…だから、勘違いではない」

 また絶妙に言葉が足りない。どっちの意味だろう。本当に、本当に彼は意味がわかっているのだろうか。桜よりも梅が好き、そんな人がいたとしたら…


38Res/12.83 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice