王馬「大変だ!オレが行方不明になっちゃった!」
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31: ◆DGwFOSdNIfdy[saga]
2022/02/03(木) 07:36:53.20 ID:7lGsyDzT0
─螺旋階段─
最原「相変わらず長い階段だね…なんでエレベーターとかエスカレーターとか無いんだろう」
王馬「ねー。あのSFっぽい部屋へ行く唯一の手段がこんなに前時代的で許されるはずないよ」
最原「そういうロマンは割とどうでもいいかな。ここに限らずただ楽な移動手段が欲しい…」
王馬「だらしないなあ、探偵なんて足使ってなんぼでしょ」
最原「僕も使うべき場面では使うよ。ていうか王馬くんに探偵のあるべき姿を説かれたくない」
王馬「だって、オレのライバルとして相応しい探偵になってほしいから…」
最原「王馬くん……僕はキミのライバルになった憶えなんて一切無いんだけど」
王馬「奇遇だね!オレもだよ!」
最原「……」ガスッ
王馬「痛ぁ!」
少し前を行く王馬くんの背中に肘鉄を食らわせた。もちろん物理的な意味で。
最原「話は戻るんだけど」
王馬「自分の暴挙をさらっと流そうとしてるよこの人」
最原「最近読んだ小説の話をさっきしたよね」
王馬「想像より大分戻るね」
最原「なんで急にあんな話を…って思わなかった?」
王馬「うん、なんなら今も思ってる」
最原「それには一応理由があるんだよね。いや、本当に大した意味は無いんだけど」
最原「精神科医の奥さんは統合失調症になってから奇行に走るようになるんだ。発症したばかりの頃だったかな…奥さんが家のそこら中を必死になって荒らし回ってたんだよ。で、何をしてるのかっていうとどうも愛を捜していたらしい」
王馬「アイってloveの愛?」
最原「そうそのlove。私たちふたりの愛をどこに仕舞ったのかしら、なんて宣いながら自宅を徘徊するシーンが、凄く印象に残ってたんだ」
最原「そんなもの、最初からあったかどうかも判らないのに」
最原「あ、これは僕の感想じゃなくて精神科医の独白ね」
王馬「…キミの言わんとしている事は判ってるよ」
最原「うん」
王馬「だから、もう黙ってていいよ」
最原「じゃあまた話相手が欲しくなったら教えてね」
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