晴海シンジュ「四月馬鹿には笑いたい」【ナナシス】
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8: ◆HQmKQahCZs[sage]
2020/04/01(水) 11:09:13.22 ID:rGjnhKth0
シンジュ「………」
かえるが、しんでいた。
そのかえるは、わたしがひろってきたもので、かわいがっていた。
なのに、しんでいた。
こどものちしきじゃ、ただしいせわができてなかったのかもしれない。
かわいがるだけじゃだめだったのだろう。かわいがっているだなんてしょせん、こどものエゴだ。
わたしはかえるのおはかをつくった。
アイスのぼうに、ゲコたろうとつたないじでかいたぼひょうとおおきなはっぱのかさでつくった。
そしてわたしがかえるをおはかにうめおわったとき
カジカ「ひっく、ひっく、うぇぇんっ」
わたしではなくカジカがないていた。
おおつぶのなみだをぽろぽろとながして
シンジュ「だいじょうぶだ。ゲコたろうははっぱのおうこくにかえったんだ。きっとそこでやすらかにくらしている」
なぐさめたつもりだった。
だけどカジカはもっとおおごえをあげてないた。
なんでなくのだろう。
わからなかった。
カジカがなきやまなくてこまった。
どうしようもなくてこまっているとサワラねーちゃんがカジカとわたしを抱きしめた。
なにもいわなかった。
シンジュ「おい、お前」
シンジュ「え?」
シンジュ「カジカは優しい奴だ。私が泣けないから代わりに泣いてくれているんだ」
シンジュ「サワラねぇも優しい。姉として何をすればいいかをずっと考えてくれてる」
シンジュ「おまえは、だれだ?」
シンジュ「私はお前だ。そしてお前は」
シンジュ「私がずっと目をそらしてきた子供である私だ」
シンジュ「泣きたいときには泣けばいい。我儘を言いたいときは言えばいい」
シンジュ「なんで死んじゃったのと、悲しんで泣き叫べばいい」
シンジュ「でも、そんなことをしたらふたりにめいわくがかかるだろう」
シンジュ「姉達はそんなことなんて考えてない。いつだって二人は私を甘やかしてくれようとしていた」
シンジュ「でもそれが私は嫌だったんだな。守られるばかりの子供だということが」
シンジュ「どうやらそれに思い至るまでに早すぎた」
シンジュ「もっと泣けばよかったんだ。もっと怒ればよかったんだ。もっと笑えばよかったんだ。それが子供の特権だからな」
シンジュ「すまない。ずっとお前に辛い思いをさせていたようだな」
シンジュ「もう見ないふりはしない。私はこの時とっても辛かったんだよな」
シンジュ「泣きたくて、泣きたくてたまらなかったんだ」
シンジュ「本当は二人に抱き着いて泣きさけびたかったんだ」
シンジュ「ほんとう、は、わがままに、なき、さけび」
シンジュ「たかったんだ………っ」
シンジュ「うっ………ぐすっ…………ひっく」
シンジュ「うわぁぁぁぁんっ!!」
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