6:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/30(月) 23:07:29.96 ID:nJ12rVXd0
変な思考が膨らんだ隙のどさくさでプロデューサーが今日のこの恒例を終わらせようとするようなことを言う。半ば思考に意識を引っ張られながらも聞き逃さなかった私は、現実へ戻ってそれを遮った。
終わっちゃ駄目。これからが重要なんだから。
プロデューサーも本当に終わらせたいと思っている訳ではないはずだけど、でも恥ずかしがり屋で素直じゃないプロデューサーは本心はどうあれ本当に終わらせてしまいかねないから。
「…………駄目か?」
「駄目っス」
「いやでもほら、今日はまだ仕事も残ってるし」
「もう落ち着いた頃じゃないっスか。知ってるんスよ。さっきトイレに出たとき覗いちゃいましたから」
「勝手に覗き見るなよ」
「私たち二人の仲じゃないっスか」
「アイドルとプロデューサーな」
「キスまでしたのに」
「……は?」
「そのマグ、よく見てみてくださいよ」
「……」
「……」
「……。これ、比奈」
「おっ、気が付いたっスか?」
「トイレの時か?」
「トイレの時っス」
「……はあ、こんなことのために同じのを欲しがったのか?」
「同じの、じゃないっスよ。夫婦マグっス。色は同じでも模様が違うやつ」
「夫婦じゃないけどな」
「まー現状はそうっスけど」
「この前の飲み会の時だな? ……まったく、あの人らは本当余計な入れ知恵を……」
「有用な助言っスよ。……ふっふ、間接きっすー」
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