56:☆F ◆AL0FHjcNlc[sage saga]
2020/03/30(月) 22:37:43.65 ID:pVyNxzTm0
━━━━━━一方━━━━━━
【事務所】
P「っ……」
P「封が開けられた手紙が、一通。それがまさか…………」
ちひろ「……なんて不運なんでしょう」
美優「……」
P「俺の責任だ。検閲前のファンレターを本人に覗かれるなんて、迂闊だった……」
美優「“不幸の手紙”………ですか?」
ちひろ「はい。私達の業界ではそう言います」
ちひろ「何の意味も無い、誹謗中傷です。不埒なストーカー紛いの文章、一方的な非難の言葉、グッズをズタズタにした写真、挙句は自身の髪の毛を送ってくる輩もいます」
P「心底気持ちの悪い、クソみたいなイタズラですよ」
美優「……」
ちひろ「……」
P「……すみません。汚い言葉を」
美優「いいえ。私は平気ですから」
P「…………高峯さんは」
P「アンチが極端に少ない人でした。バレンタインの時のチョコやハガキも、イタズラなんて一件たりとも無かった」
P「それは彼女がまだ無名だから、注目度が少ないからという理由もありました」
P「しかし、今回は違います。全国ネットの放送で、陰ながら出演を果たし、ネットで話題になるほどの活躍を見せた」
P「それこそ、多数のファンを抱える、上位ランクの超有名アイドルの話題を掻っ攫うほどの」
美優「……ネットでも書かれていましたね」
美優「晴れ舞台なのに注目されない……、そのアイドルのファンからしたら、屈辱でしょう」
美優「その妬みの矛先が向くのは、やっぱり……」
P「……高峯さんは悪くはありません。もちろん、そのアイドルも」
P「この業界ではいつの時代でも、ファン同士の対立感情が否応なく付き纏う。それがアイドルに飛び火してしまうこともある」
P「ただそれは敵対心ではありません。自分が好きな人を、他の人達にも理解して欲しいという……」
P「紐解けば、単なる愛情表現なんです。それが一時、ほんの少しだけ歪になってしまっただけのこと」
美優「…………」
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