39:名無しNIPPER[saga]
2020/03/29(日) 17:00:16.21 ID:O0jAO63X0
長老「儂が今日まで生きてきたこの美里恩村の良きところは、村人が皆博打などを好まぬ堅実な働き者ばかりなところじゃ」
長老「人が未来を見通すことはできぬ。じゃが若者の未来を信じることは愚かな賭けじゃろうかのう」
村人たち「……」
長老「儂の老いた目がまだ物事の正鵠を射抜けているのなら、少なくとも育吾郎を信じることを博打とは呼べぬはずじゃ。なぜなら育吾郎という若者は、それだけの信頼を皆に見せておるからだ」
村人T「だ、だがこれから鬼を討つとしても……エミリー殿に助太刀できるほど肝の据わった者が村にいるのかい」
村人U「男連中は老いも若きもみんな蘇芳童子に怯えて生きてきたんじゃ。おらもみんなも、兄弟や友達が山に連れて行かれるところを見ちまってるんだから……」
長老「どんなに力の弱い人間にもできることならある。何かを成そうと奮闘する者を信じて見守ることじゃ。堅実に、こつこつとな」
ひなた「そ、それじゃあ……」
長老「ひなたよ、エミリー殿を激励するのじゃ。きっと喜んでくれるはずじゃ」
ひなた「は、はい! ありがとねぇ、長老」タタッ
村人V「……良かったんですか、長老」
長老「ああ。世は諸行無常。元より本来変わらねばならんはずのものを放置したままあの世へ行くのは心残りじゃったからのう」
村人W「それで、育吾郎が密かに思案してることって何なんです? 長老はご存じなんでしょう」
長老「ほっほっほっ。皆の衆、これから忙しくなるぞ。まあ10年に一度あれだけ大量の機織りをこなしてきた者たちじゃ。きっと良い結果をもたらせるじゃろう」
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