【ミリマス】育「ドラマ こんじき雛」
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33:名無しNIPPER[saga]
2020/03/29(日) 16:56:40.33 ID:O0jAO63X0
エミリー「……なんですか、このお話は」

まつり「鬼に息子を食われた母親がいつしか創作し、次の標的の母親へと伝え受け継がれていったという物語なのじゃ。他の藩でもお伽噺として親しまれているそうなのじゃ」

まつり「実際村には恵みがもたらされておる。心優しき男の子は村を救った英雄ともいえよう。そう捉えれば、この物語もある意味では的を射ているのかもしれんのじゃ」

まつり「他方、このように考えでもせねばとても気持ちを整理することなどできない、そんな遺された者の心を慰めるために創り出された、優しき嘘の物語とも呼べるのじゃな」

エミリー「……恐れながら申し上げます。お殿様は、どういったご了見で私にこんなお話を聞かせたのですか。これを聞けば私が納得して引き下がるとでもお考えでしょうか」

家臣「この者、殿に向かって……!」

まつり「待て。――エミリーよ、続けるのじゃ」

エミリー「私は受け入れられません。育吾郎さまは、鬼の餌になるためにこの世に生を受けられたわけではないはずです」

エミリー「価値観の異なる人同士が手を取り合える世の中を作りたい――育吾郎さまは、そんな夢を私に話して聞かせてくださいました」

エミリー「異人である私が美里恩村で健やかに過ごすことができるのも、そんな夢を叶えるべく邁進されている育吾郎さまがおられるからです。私は育吾郎さまに、まだ何も恩を返せていません」

エミリー「お願いいたしますお殿様! どうか、私に鬼を討ち取るすべをご教授いただけませんか? 藩で最も偉大なお方であるお殿様なら、きっとご存じと思い、馳せ参じました」

エミリー「決してたった三日の鍛錬で強くなれるなどと自惚れているわけではございません。それでも私は、育吾郎さまの未来をこの手で護りたいのです」


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