15:名無しNIPPER[saga]
2020/03/29(日) 16:45:13.65 ID:O0jAO63X0
育「まったく……。エミリー殿、大丈夫?」
エミリー「はい。大丈夫です。お心遣いありがとうございます。けれど、少しびっくりしてしまいました」
育「ごめんね。あの子たちには拙者がきっちり言い聞かせるから」
育「ふつうの村人にとっては、この村の中の世界がすべてだ。別の場所に嫁や婿に行く人以外は、みんな一生を村の中で過ごす。小さな村だけど、ずっとここにいれば争い事とも無縁でいられるからね」
エミリー「確かに今までいくつかの町や村に滞在させていただきましたが、どこの方も異国人が珍しいご様子でした」
育「どこも同じようなものなのかもしれないね。それでもこの村の人はみんな、ひなた殿のように争いを好まない穏やかな働き者ばかりだよ。だから拙者はこの村も村の人たちも大好きなんだ」
育「決して裕福でなくても、文句ばかり吐いて何もしないような怠け者は誰一人いない。拙者も立派な武士になって、優しい人々が争い事を気にせず色んな所に出かけられる世の中を作っていけたらいいな」
エミリー「育吾郎さまなら、きっと素敵なお侍さんになられるはずです」
育「そう言ってもらえると嬉しいよ。ありがとう」
育「けど珍しがられるのは慣れているといっても、さっきみたいなことがそう何度も起きるのは拙者が見ていられない。今日はずっといっしょにいるよ」
エミリー「えっそんな……お、お忙しいのではないですか?」
育「平気だよ。母上から頼まれていたおつかいも済ませたし、勉強なら日が沈んでからでもできるからね。エミリー殿、何かしたいことがあれば言ってみて」
エミリー「したいことですか。あの……私、竹刀を振ってみたいです。育吾郎さまがご自宅で毎朝されているようには、上手にできないでしょうけど……」
育「それくらいならお安いご用だよ。護身術にもなるし、拙者が教えてあげるね」
65Res/65.27 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20