ターニャ・フォン・デグレチャフ「私は副官の無防備さを甘くみていたらしい」
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11:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/26(木) 22:51:20.07 ID:rJNbqli6O
「ふぅ……おや?」
「ひっく……えっく」
「やれやれ、少尉は相変わらず泣き虫だな」

狂ったように愉悦と哄笑をぶち撒けて部下を怯えさせた挙句に泣かせたのは紛れもなく少佐のせいなのだが、こんな時だけは優しかった。

「よしよし。貴官はそれでいい」
「ぐすっ……デグレチャフ少佐ぁ」
「あまり澄ましてばかりいると可愛げがないからな。たまには可愛いところも見せてくれ」
「……好き」

事情を知らない者からすればなんて頭の悪い会話なのだろうと思うかも知れないが、当人たちは至って真剣であり、これはもうキスくらいするのが上官としての務めなのではないかと少佐は一瞬考えたが、それは明白な軍規違反であることを思い返して、なんとか己を律した。

「こほん……今の発言は不問としよう」
「……少佐殿のいじわる」
「とはいえ、聞こえてしまったものは仕方ないからな。しっかりと記憶に留めておくので安心したまえ。貴官の気持ちは……とても嬉しい」
「少佐殿! 小官は感激しております!」
「ふっ……感激しすぎて嬉ションはするなよ」
「やだもう、デグレチャフ少佐ったら」
「貴官の幸せの黄ばんだハンケチーフに免じて、此度の一件は不問とする! 以上!!」

厳粛なる軍法会議の結果、第二〇三航空魔導大隊内で発生した盗難事件は不問に処された。


【少尉の幸せの黄ばんだハンケチーフ騒動】


FIN


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