7:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/19(木) 22:37:16.39 ID:z07AMiQQO
「……氷川さん?」
と、静かな声でエルシオンから花女の教室へ紗夜は帰ってくる。眼前にはきょとんとした燐子の顔があった。愛想よく笑う店員さんの姿はない。机に目を向けても、そこにはどんぶりなんてない。一昨年くらいに日菜がくれた(正確には強引に押し付けてきた)姉妹でお揃いの淡い青色をしたお弁当箱しかない。
「上の空でしたけど……大丈夫……ですか……?」
「ええ、大丈夫」日菜の声が紗夜の頭に浮かぶ。『ら、ら、ら、らーめん〜♪』……やめて日菜、その歌は私に効く。やめてちょうだい。「ラーメンなんて食べたくないわ」
「……はい?」
「ネギととろろのシンフォニーなんて気にしてないですから」
「あの……保健室、行きますか……?」
燐子は本気で紗夜を心配した。
どこか虚ろな目でいきなり変なことを言い出した風紀委員長。もしかしてそれはギャグで言ってるのかな……という思いがなくもないけれど、根っから真面目な紗夜が上の空の様相で「ラーメン、ネギ、とろろ」と繰り返す様は、どう見たって異常事態だ。
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