中野五月「あの……膝の上に、乗ってもいい?」上杉風太郎「は?」
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6:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/16(月) 01:38:36.72 ID:8NkjlyIZO
「わかった」
「ふぇっ?」

泣きじゃくる私の頭に優しく手を置いて彼は。

「お前のおしっこを浴びてやる」

そう言って、不敵に笑う。思わず、見惚れた。

「う、上杉君……」
「なんだ、五月」
「わ、私……私ね、素直になれなくて……」
「ああ、わかってる。それがお前の良さだ」
「上杉君は、そんな私が嫌じゃない……?」
「俺はそんなお前がいいんだ」

そんなお前がいい。
そんなことを言われたのは生まれて初めてだ。
私たちは五つ子で、五人一組で育った。
だから個人を見てくれる人なんか居なかった。
でも彼は上杉君はひとりひとりを見てくれた。

「上杉君……私ね、君が家庭教師で良かった」
「はっ……そりゃ、光栄だな」

今だけは素直になれた。
涙で顔がぐちゃぐちゃの今だから言えた。
今ならば、嬉し涙を見られても困らない。

「ありがとね……上杉君」
「その喋りかた」
「えっ? あっ……ごめん、なさい」

敬語を忘れたことを謝ると、彼は首を振って。

「いいんだ、五月」
「で、でも……」
「これから小便をかけられる身には、その方が気楽でいい。だから、敬語なんていらねーよ」

もう少し言い方はないのだろうかとは思うが、ここはひとまず彼の優しさとして受け取ろう。


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