少女「お兄、すき」男「そうか」その2
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41: ◆YBa9bwlj/c[saga]
2020/03/20(金) 00:12:37.17 ID:M7muVSN10

男「……お前を殺したのは俺だ」

男「お前が少女にしたことは許せなかった。懸命に生きようと藻掻くあの子の意思を踏みにじる行為に。そして……」

薬屋「……」

男「だが……あの子だけではなかった。必死に生きて、愛されたいと願ったのは――」

男「薬屋。お前もだったんだな」

薬屋「………」

薬屋「そうさ…私は、お前と生きていく為だけに全てを捧げ、利用し、賭けてきた」

薬屋「何かをここまで求めたことはかつてなかった。叶わぬ想いを抱き、身体の内側から焦げ付いていくような毎日…」

薬屋「男。お前が私の問いかけに善処すると答えてくれた時の、私の喜びが分かるか?お前の周りに私の居場所がないと知った時の虚無が……お前に殺された時の諦観が」

薬屋「私の全てを拒んだあの瞬間に、私の存在する意味は失せた」

薬屋「なんで今謝る…お前は何に謝ってるんだよ……こうしてお前と話しているだけで、裂かれるように痛いんだ…!」

男「拒んではいない」

薬屋「どの口が言うっ!」

男「言っただろう。あの時、俺はお前も連れて行こうと考えて――」

薬屋「だから何も分かっていないじゃないか!私は一欠片たりともお前を他者に渡したくない!お前には私だけのものになって欲しいんだよ!!」

男「痛い程伝わったさ…!」

男「何も学ばず、見えていなかった俺にもな…」

男「…愚かにも俺はお前を刺したことを後悔していた。薬屋という一人の人間を救う方法があったのではないかと」

男「フッ…あそこまでの行き違いを引き起こした奴が何を調子の良い妄想に駆られているのだろうな」

男「……だが、お前はここに戻ってきた」

薬屋「………」

男「………」

男「…いいか、これは同情でも義務感でもない」

男「薬屋」



男「俺と共に生きて欲しい」



薬屋(――)

男「俺も、お前への慕情はあった。己を閉ざしていようと関係なく好意をぶつけるお前に、救われていたところもあったんだ」

男「これ程に阿呆な俺だが、信じてくれないか?」

薬屋「……………」



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