アルコ&ピース酒井「ウィンドミル」
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8: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/03/09(月) 23:41:04.81 ID:6vHR34Kro
奇妙な感覚に侵される。俺は今、一体何を見ているんだろう?こいつはそもそも何者なのか?
俺を試すみたいに、きらりと輝く瞳が俺を捉えた。いやだ、嫌すぎる。今すぐここから逃げ出したい衝動に駆られ、全身が毛羽立った。なんでだ?



仕事終了、その足で局の駐車場に行く。お目当ては平子さんの黄色い車。今日も綺麗にしてある。そこでならふたりきり、しっかり会話できるだろうと思った。
密室に俺らふたり、沈黙の時が辛い。

「……さて。」

一息置いてそいつは言った。


「このままだと、きっと君の相方くんは消えてなくなります。」


は?


さらりと爆弾が放り込まれ、俺は一瞬息が止まった。意味を分かりたくない、理解したくない。
どうしたら良いかは分からないが、このままだとまずいという感情だけが脳を支配した。
こいつの思うままにさせたくねえと強く願う。
にたり顔は張り付いたまま、そいつはまだ何か言っている。

「でももうええんちゃうの?この子ぉ居なくたってさ」

「……なに、が?」

怒りが喉につっかえる。こいつ、殴れるんなら殴りてえ。拳に自然と力が入る。


「賞も取れない、成績は振るわない。望みは繋がらず、アングララジオ芸人のレッテルはそうそう簡単に剥がれない。けれど、熱狂的なファンがいて、大切な仲間がいて、それでいいんちゃうの?」

「は?」

「この子がおらんと、ぼくはこの子の真似が出来る。最初はおかしくても、きっとみんな慣れる。ああ、いつものやつやってね。だからええやん、君の人生の邪魔にはならんし」


腹立つ言葉が続いた。

そうだ。だけど、あながち嘘でもなかった。

俺達は、賞レースにはてんで縁がなかった。THE MANZAIのファイナリストに3年連続でなりました、キングオブコントの決勝にも出ました。で、それでなんだって?俺ら何を残せた?生放送でクレーム電話がひっきりなしのコントをやって、俺の秘密を暴く話して漫才をなめてるなんて言われて、一体俺らなにしてた?笑いを取れたと自負しながら、翌日にはネットニュースになってることにほくそ笑むばっかりなんじゃねえのか?それって、本当に評価されているって言っても良いのかよ?

……俺達のほんとに欲しかったもんって、もしかしてもう手が届かねえんじゃねえのか?


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