上杉風太郎「一花、お前はかわいいよ」中野一花「ッ……!」
1- 20
23:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/03(火) 23:55:10.13 ID:elO9kpWFO
「はあ〜スッキリした」
「よし。じゃあ、そろそろ勉強を……」
「スッキリしたから、おやすみ〜」
「やっぱりな! だと思ったよ!」

今日、私は学んだ。
ペットボトルがあれば布団から出ずに済む。
彼のおかげでまたひとつお利口さんになれた。

「三度寝なんて許さん! 早く起きろ!」
「あと5分だけ、お願い」

可愛く見えるように首を傾げてみたが、正直期待はしておらず、鈍感な彼には通じないだろうと思っていたのだけど、存外、効いたらしく。

「はあ……あと5分だけだぞ」
「ありがと! フータローくん、大好き!」
「はっ……言ってろ、馬鹿が」

一世一代の告白を鼻で笑われてしまったけど、不思議と落ち込むことはなく、私は彼の腕を抱きしめて再び眠りについた。そして夢を見る。

シンデレラの姉は妹が憎いわけではなく、悪い王子様から可愛い妹を守ろうとしたのだと。
白雪姫の魔女は、美しいお姫様を眠らせることによって悪い王子様から守ろうとしたのだと。

甚だ都合の良い解釈だと思うけれど、それは見方を変えればとても優しい解釈とも取れる。
【5匹の子豚】も、そんな優しい物語だった。

私は彼のそんな素朴な優しさを愛おしく思う。

願わくば、悪い王子様のキスで目覚めたい。
叶わないのならば、このまま眠り続けて悪い狼に食べられてしまっても一向に構わない。
それは自己犠牲ではなく、自分の為の願いだ。

そう遠くない将来、新郎の彼の隣に新婦として立つ自分の姿を夢見て、私は眠り続ける。


【5匹の子豚と眠るシンデレラ】


FIN


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
29Res/26.76 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice