白菊ほたる「傘を弔う」
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6: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/02/24(月) 19:03:56.62 ID:3k7Y9koF0



わたしたちの出会いは運命だったと、疑いもせず信じきっているのはおそらく世界で茄子さんただ一人だった。
それは安アパートの錆びた手すり、がたがた揺れる階段の上……
きっかけなんて、わたしにとってはありふれた災難のうちのひとつでしかなかったのに。

「危ないところでしたね」
そう言って擦りむいた頬に血をにじませながら微笑んでいた。
わたしは言葉を失ったまま見知らぬ女性の腕の中に抱かれていた。

「新しく引っ越してきた人……ですよね? 私、101号室の鷹富士茄子っていいます」

とても寒い日だった。
確か、雪も降っていたと思う。


……覚えているのはそれだけ。



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