【ミリオン】紗代子の欲しかったもの
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30:伊丹 [sage]
2020/02/08(土) 20:46:49.40 ID:2EYiqEug0









「はぁ、はぁ、はぁ!」

レッスンが終わった後、私は夕暮れの劇場前をひとり走り込みをしている。

「……だめだ。さっきよりもタイムが落ちてる!」

ベンチに置いたストップウォッチをみて私は歯噛みする。
一つに結んでいる後ろ髪が汗ばんだ背にまとわりつく。

疲労回復に効果のある、ビン詰めのレモンのはちみつ漬けと水を口に流し込む。



よし、次は!
と踏み出そうとしたとき……



お疲れ様!
と背後から声をかけられる。



「……P!お疲れ様です!」



「みんなから聞いて様子を見に来た。
ここのところ、朝以外に走り込みを毎日やってるらしいな?」



「はい!大会本番までそんなに時間がないですから!」



「はは!みんな驚いてたぞ。紗代子はいつも全力だけど、
今回はいつも以上に入れ込み方が違う、って

まさか、本当にマラソン大会に出場するなんてな!」






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