27:伊丹 [sage]
2020/02/08(土) 20:39:53.97 ID:2EYiqEug0
「そんな……修理はできないものなんですか?」
「すぐに事務所近くの商店街の時計屋さんのところに見積もりを出したんだけど、
その額に少し足せば新しいのを買えるくらいになってなぁ」
そう言って、カタログに目を移す彼。
「そのとききまぐれにカタログを貰ってきたけど、新しいのもなかなか悪くないな!
次は維持費もかからないクォーツ式かな。これなんか、俺にどうだろう?」
そう私にカタログを見せる。
そこには、青い文字盤がキラキラと眩しい新型の時計が載っている。
とてもじゃないけど、私じゃ買えない金額。
私は彼の質問を無視して、質問を重ねる。
「じゃあ、前使っていた時計は…どうされるんですか?」
「……まだ修理して使うか考えているところだけど。
新しいのを買うなら、アレは思い出と一緒に机の肥やしになるのかな」
「そう、ですか…」
「……なにか気になるのか?」
「あ、いえ…!あの時計、Pに似合っていたので…」
「それは……ありがとうな。
そうか…似合っていた、か!」
少し嬉しそうな顔をする彼。
それから二言三言彼と言葉をかわしたけれど、内容はまるで頭に入ってこなかった。
66Res/53.80 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20