17:伊丹 [sage]
2020/02/08(土) 20:20:09.44 ID:2EYiqEug0
あちこちについている傷のひとつひとつが、
今に至るまでの年月を物語る。
きっと、傷の数だけたくさんの出来事があったんだろう。
この時計を深く知っていくにつれて、いま手にしている時計が、
なんだか 彼の歴史を手にしているような…
もっというと、“彼自身” を手にしてしまっているような……
そんな支配的な感情が顔を出しそうでーー
「……っ!こ、これお返ししますっ!」
私は慌てて彼へ腕時計を返す。
うん、と時計を受け取り、左手に巻く彼。
初めてのよくわからない感情に、
どうしたらいいかわからなくて。
わたし、おかしいのかな。
なぜか、
ほんの少しだけ
あの時計を返したくないな、と思ってしまったから…!
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