九頭竜八一「何がわかった?」夜叉神天衣「竜王になるための条件よ」
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6:名無しNIPPER[sage saga]
2020/02/05(水) 01:15:20.21 ID:30BMMpCHO
「……あんなのありかよ」

第二局のあと、八一は消沈していた。
穴熊は上部からの飽和攻撃に弱い。
竜王はそこを突いて、八一の玉を押し潰した。

ならば、相手にも同じことをすれば勝てるかと言うとそうでもなく、要するに攻めに対する受けが上手いか下手かの問題であり、八一は下手で竜王は上手い、ただそれだけの話だった。

「ッ……俺はっ……弱い!」

八一は弱かった。
八一は弱い自分が嫌だった。
だからこそ、称号が欲しかった。
棋界最強の竜王の称号と身分を望んだ。

「じゃないと、銀子ちゃんの隣に立てない!」

空銀子。八一よりも年下の姉弟子。
空銀子はお姫様だった。身分が違った。
だから八一は王様になりたかった。
どんな手を使っても、竜王の座を奪うのだ。

「カアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」

竜王戦、第三局。
八一は若い。若さと勢いが彼の武器だった。
読みの深さでは竜王には敵わない。
けれど、一瞬の閃きと瞬発力で上回った。

「あ、負けました」

あっさりと竜王は敗北を認めた。
第四局も、第五局も、続けて勝利を収めた。
竜王を負かした八一は不思議だった。
次勝てば、竜王になれる。だけど。

(なんで勝てたのか、わからない)

若い八一は勝利の理由がわからなかった。
対局のあと、敗北した竜王はいつまでも盤上を眺めていた。八一は静かにその場を後にした。


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