9: ◆OtiAGlay2E[sage]
2020/01/18(土) 08:52:04.69 ID:zfpFgTpfO
『どんどん降ってくるな。こりゃあ、明日はダメだな』
なんだかおかしかった。こちらの話も聞かずに勝手に話し続けるのだから。それほど焦っていたのだろうか。でも、少し温かかった。
10: ◆OtiAGlay2E[sage]
2020/01/18(土) 08:52:32.21 ID:zfpFgTpfO
「別に、金沢に比べたらこれくらいの雪などどうということはありません。もしかして、あなたは私が1人じゃ何もできない女だとお思いなのですか……?」
『い、いや。そうじゃなくてだな……。大切なアイドルに万が一のことがあってからじゃ遅いだろ?』
11: ◆OtiAGlay2E[sage]
2020/01/18(土) 08:53:26.68 ID:zfpFgTpfO
「大切なアイドル、それだけなのですか?」
雪にあてられたせいだろうか。普段ならまず言わないような言葉が口からこぼれた。
12: ◆OtiAGlay2E[sage]
2020/01/18(土) 08:53:52.07 ID:zfpFgTpfO
『…………』
「この雪が、まるで金沢から届いたようで、そう考えると今ここにいる自分が寂しく思えたのです」
13: ◆OtiAGlay2E[sage]
2020/01/18(土) 08:54:43.68 ID:zfpFgTpfO
『……そんなことないぞ、紬には劇場のみんながいる。そして何より、俺がいる』
「…………ふふっ。ご自分でそんなことを言って、恥ずかしくないのですか?」
14: ◆OtiAGlay2E[sage]
2020/01/18(土) 08:55:22.81 ID:zfpFgTpfO
『あー……なんか恥ずかしいな。ま、とりあえず明日は電車も動かないだろうし家で大人しくしててくれ』
「はい。では、おやすみなさい。プロデューサー」
15: ◆OtiAGlay2E[sage]
2020/01/18(土) 08:56:17.53 ID:zfpFgTpfO
そうだ、1人じゃない。たった数分間のやりとりだったが、紬は心にぽっかりとあいた穴に熱がこもるのを感じた。
さて、明日はともかく明後日はまず劇場の雪かきからだろうか。年少組はきっと大はしゃぎだろう。
とりあえず明日は何もできないのだから、プロデューサーの言う通り大人しておこう。アパートの前の雪かきをするのもいいかもしれない。確かスコップは置いてあったはずだ。
16: ◆OtiAGlay2E[sage]
2020/01/18(土) 08:56:43.10 ID:zfpFgTpfO
スマホを机に置いた紬は、部屋の電気をもう一度つけた。外は完全に白い絨毯で覆われていた。
17: ◆OtiAGlay2E[sage]
2020/01/18(土) 09:03:04.78 ID:zfpFgTpfO
終わりです
今年の北陸は珍しいことにこの時期になっても雪が少なく、寂しくもありました
元ネタはサラダ記念日の中の一首です
https://www.amazon.co.jp/dp/4309402496/ref=cm_sw_r_cp_api_i_2RKiEbJ46154N
18: ◆NdBxVzEDf6[sage]
2020/01/18(土) 13:02:27.15 ID:ci6dRb6qO
金沢そんなに雪多いんだ‥
乙です
白石紬(17)Fa
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