3:名無しNIPPER[sage]
2020/01/16(木) 20:38:04.05 ID:BL9zSwSq0
などと考えている内に意識が朦朧としてきた。
当然だ。アレイスターはただでさえオルソラやメイザースとの戦闘、コロンゾンの奇襲で重症を負っているのだ。これまで動けていた方が不自然なのだ。そして何よりもアレイスターの命を奪っていっているのは、コロンゾンの一撃による腹の風穴である。腹の穴からは今もおびただしい量の真っ赤な鮮血が溢れ出ていた。
これから死ぬ。
なのに胸の内は満足感でいっぱいだった。
これまで不幸続きだった、失敗だらけだった、敗北ばかりだった。けれど今は違う。コロンゾンの野望を食い止め、リリスを救う為に皆を信じ、共に戦った。結果として自分が死ぬ事になっても、それでも構わなかった。リリスを救えれば、それで。
心残りがあるとすれば父親としてリリスの成長を見られない事くらいか。
ガゴンッッ!!という重い金属音が遠く聞こえた。この船もじきに沈む。そして暗い海底へと沈んでいくのだろう。
全く良い人生とはいえなかった。しかしこういう最期も乙なものだ。
そう思案するアレイスターの顔は満足気で晴れ晴れとしたものだった。たった一人の娘を守りきったとある男の、父親の人生が今幕を閉じようとしていた。
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