4:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/11(土) 21:44:07.19 ID:tYd/KiKIO
「佐々木」
「なんだい、キョン」
放課後、俺と佐々木は一緒に下校した。
シベリアから吹き荒れる風が冷たかった。
しかし、隣の佐々木は非常に暖かそうだ。
「いつまでマフラーしてんだ?」
それもその筈、佐々木は教室で巻いたマフラーをそのまま身につけており、返却しなかった。
故に恨み言を投げかけると、小首を傾げて。
「えっ? このマフラーは僕が編んだから当然、僕のものだよ。そんなの当たり前じゃないか」
こいつ。冗談にしてもタチが悪すぎる。
「ああ、そうかよ」
「うん。そうだよ」
くそっ。
期待していた自分が恥ずかしくて死にたい。
悔しさを溜息に滲ませると、追求してきた。
「おやおや? 何をがっかりしているんだい?」
「別に……なんでもねぇよ」
「やれやれ、素直じゃないね」
まさか自分の為に編んでくれたと思っていたとは言えず、なんでもないと言い張ると、佐々木はくつくつ笑い、マフラーを半分程ほどいて。
「仕方ないから半分こにしよう」
「は?」
「ほら、そっちの端を首に巻きたまえよ」
呆気に取られる俺の首に、佐々木がほどいたマフラーの片端を巻きつけていく。顔が近い。
「これでよし。ん? どうかした?」
「……お前は俺をどうしたいんだよ」
嬉しくて暖かくてまともに顔が見れなかった。
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