42: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2020/01/04(土) 20:25:10.61 ID:hoMUvMIQo
「いつ止むんだろうな、この雨」
私たちのやりとりを真っ白に上書きしていくように、無数の雨粒たちが一斉に車体を鳴らしている。
私は徐に目を見開いた。
「もしかしたらずっとこのままかもしれないっすね」
そう笑いかけた私に、彼は呆れたようなため息を一つ吐いた。
「それは嫌だな」
「どうしてっすか?」
「誰だって、雨は止んでくれたほうが嬉しいだろ」
乾いた色をした声だった。
誰だって、という前置きにプロデューサーさんの語気が偏っていることに、私は気がついていた。
あるいは、語気だけじゃないのかもしれない。
どれほど複雑な言葉でも決して言い表せないような、だからこそ単純な言葉に任せるしかないようなどうしようもない想いが、その一言にはきっとこめられていた。
だけど。
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