芹沢あさひ「この雨がいつか止んだなら」
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38: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2020/01/04(土) 20:23:09.70 ID:hoMUvMIQo

「『何者かになりたいと思ったことってある?』」

 運転席が小さく息を呑んだような気がした。
 きっと私の勘違いだろうけれど、でも、たしかにそう感じられるような一瞬の隙があった。

 プロデューサーさんは、やっぱり笑って応える。

「あったな、そんなことも」
「あったっすね、そんなことも」

 中央を断続的に走る白線の左側を、私たちを閉じ込めた箱は真っ直ぐに進んでいく。
 
 窓の外、高速道路の下には、平坦な地形の上を幅の広い河川が南北に流れている。
 水流の勢いはさほど強くないようで、ぴたりと凪いだ水面はまるで鏡のように空の色を反射し、それは、だから酷く濁っているようにみえた。

 次の言葉は、私よりも彼のほうが早かった。




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