芹沢あさひ「この雨がいつか止んだなら」
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34: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2020/01/04(土) 20:19:17.96 ID:hoMUvMIQo

 高速道路でしか見かけないような警告色の看板が、前方からフロントガラスの上部へと消えていく。
 白色の文字で何やら書かれていたが、それ以上のことは何も分からなかった。まあ、私がそれを読む必要はあまりない。

 差し当って重要な情報であるところの目的地までの概算距離は、備え付けられたカーナビの左下あたりに表示されている。
 曰く、ちょうどこの辺りが折り返し地点のようで、目的地まではあと二〇キロメートルちょっと、事務所を出発した時点での半分ほどだ。
 ここまでに三〇分が経過したかどうかというくらいだから、車を使えば事務所からは一時間程度で来られるという計算になる。
 思いのほか遠くないらしい。

 看板の消えた空をぼんやりと眺める。

 街路灯さえ設けられていない一本道は、どこまでも自由に、ありのままの空を映し出す。
 だから、目を逸らせない。

「雲、本当に出てきたっすね」




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