151: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2020/01/04(土) 21:32:02.80 ID:hoMUvMIQo
開いた窓からすっと忍び込んだ弱気な風が、彼の手元を控えめに揺らした。
いつしか遠くに消えてしまっていた街の喧騒が、差し込んだ明かりの暖かさが、仄かに漂う珈琲の香りが、夏風に連れられて私たち二人の間にまた帰ってくる。
いつも通りの朝が呼吸を始める。
「どうだったっすか?」
私は訊いた。
あの日、酷い雨の夜、助手席から、いつかの私がそうしたように。
朝日に色付いた事務所の中、どこか楽しげな笑みを浮かべた彼の口元に、いったいどんな答えが返ってくるだろうかと想像しながら。
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