14: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2020/01/04(土) 20:05:34.25 ID:hoMUvMIQo
ふと気がつけば、私の右手には傘がある。
さっきの少女が持っていたものと同じ、水を編んだように青く透明な傘が、望んだわけでもないのに握られている。
こんなもの、と思った。
どうして、なんて疑問よりも先に、要らない、という感情がぱっと沸き立った。
だったら投げ捨ててしまえばいいのに、だけど結局、私は空に向けて傘を開く。
雨に打たれるのが嫌だったから?
本当はこの傘が欲しかったから?
分からない。知らない。知りたくもない。
理由なんて何だっていい。
俯いたまま、私は囁く。
――わたしに、何者であってほしいっすか?
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