44: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 09:56:20.85 ID:ck9R+qDf0
翌日のレッスン後、候補生達は雑談に興じていた。
可奈「私ね、如月千早さんに憧れてるんだ」
45: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 09:57:04.68 ID:ck9R+qDf0
紗代子「ねえねえ、ロコちゃんは絵が得意なんだよね?」
ロコ「ハイです! まあロコはアートに関しては、ピクチャーに限らずオールマイティーだとシンクしてますけど」
紗代子「ちょっと描き方っていうか、コツみたいなのあれば教えて欲しいんだけど」
46: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 09:57:39.76 ID:ck9R+qDf0
紗代子「うん。プロデューサーが、ダンスのフリがなかなか覚えられないのは、客観的な動きを理解していないからだって」
百合子「客観的な動き……なるほど。ダンスって自分でやってるとどう踊ってるか、わからなくなることありますもんね」
紗代子「ダンスのフリを絵に描いたら、どう動けばいいかわかるし覚えるのにも役に立つかと思って」
47: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 09:58:36.18 ID:ck9R+qDf0
〜5分後〜
静香「どうかしら!」
百合子「えっと……」
48: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 10:01:32.30 ID:ck9R+qDf0
桃子「でも確かに、動きを描いてみるっていい考えかも知れないよね」
瑞希「はい……混んでなければ、移動の電車とかでもダンスレッスンの代わりになりそうですし」
紗代子「うん! 私もそう考えてたんだ!」
49: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 10:02:12.79 ID:ck9R+qDf0
静香「え……? あ、はい」
紗代子「ピアノのCDとか持ってる? 持ってたら貸して欲しいんだけど」
静香「それは持ってますけど、紗代子さんもピアノを始めるんですか?」
50: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 10:02:52.78 ID:ck9R+qDf0
エミリー「色々な種類の音楽ですか……実は私、北欧の重金属音楽に興味がありまして」
のり子「重金属音楽……ってなに?」
ロコ「きっと、ヘビーメタルですね」
51: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 10:05:00.76 ID:ck9R+qDf0
のり子「うん。メタルも色んな種類があるんだよね。正統派メタルにスラッシュメタル、パワーメタルにプログレッシブメタル、あと忘れちゃいけないデスメタル!」
エミリー「まあ、重金属音楽にもそんなに種類があるのですか? 正統派重金属音楽に斬撃系重金属音楽、力業重金属音楽に革新的重金属音楽、そして丁寧語断定助動詞重金属音楽ですね。忘れないうちに帳面に記入いたしませんと」
52: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 10:05:42.05 ID:ck9R+qDf0
幸いに、帰りの電車は空いていた。
座席に座り、紗代子はレッスン用日記を取り出す。
紗代子「ここでこう……ポーズで。ここから左手、右手……でターン。うん、自分で絵に描くとよくわかる! 実際に身体を動かせない場所でも出来る、これはいいレッスンかも」
53: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 10:06:22.58 ID:ck9R+qDf0
紗代子「えっと……自分の中では一番苦手でもあり、今よりもダンスを磨く為にレッスンを増やしたいんですけど、どうでしょうか……と」
プロデューサーからの指示伝達が届くより前に、紗代子は初めて自分からメールをしてみた。絵に描く特訓は、電車ではできないとわかると、何か代替の方途が必要ではないかと心配になってきたからでもあった。
定期的な伝達と合わせて返事がもらえればとの思いだったが、予想に反し返事はすぐきた。
54: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 10:06:53.86 ID:ck9R+qDf0
以前の紗代子なら、単刀直入な指摘にショックを受けたかも知れない。
しかし今の彼女は、プロデューサーに全幅の信頼をおいていた。
そう、プロデューサーならそれをどうすればいいのかを、教えてくれるからだ。
紗代子「基礎的な体力か……うん!」
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