325: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:20:03.42 ID:ZRhpxi3E0
『敗者復活のうた』
326: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:21:48.16 ID:ZRhpxi3E0
華々しく終了したワールドフェス日本予選。その舞台裏で、善澤記者は黒井社長に話しかける。
善澤「黒井」
黒井社長「なんだね? 昔なじみだからといって、気安く呼ぶんじゃないよ」
327: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:25:32.91 ID:ZRhpxi3E0
善澤「ハッキングのことは、とうに気づいていたそうだよ」
黒井社長「信じられないねえ。まあ、なんのことかはわからないけれども」
善澤「ライバルの動勢に目を光らせるのは当然だ……お互いにね、と高木は言っていた」
328: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:28:29.76 ID:ZRhpxi3E0
P「ワールドフェス優勝とは、大きくでたな」
765プロ劇場でのささやかな祝勝会の後、紗代子を自宅まで送り届けるという名目のもと、2人は車に乗る。
329: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:30:57.76 ID:ZRhpxi3E0
P「紗代子がいなければ、俺は立ち直れなかった。だから感謝している。紗代子が俺を、プロデューサーに戻してくれたんだ」
紗代子「私が!? とんでもありません。私こそ、プロデューサーにアイドルに……トップアイドルにしてもらいました」
P「要するに……俺と紗代子は、連壁の関係ってことだ。2人で一人前だが、2人なら最強の一人前だってことかな」
330: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:32:46.48 ID:ZRhpxi3E0
〜2週間後〜
紗代子「じゃあみんな、行ってくるよ! 世界一のアイドルになりに!!」
331: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:34:14.79 ID:ZRhpxi3E0
高木社長「復讐は終わった。復讐は、過去からの清算なのだから、もう君たちは過去に捕らわれてなどいない。これからは、未来に向かって羽ばたく姿を楽しみにしているよ」
P「色々とご迷惑と、心配をおかけしました。行ってきます。最高のアイドルとプロデューサーになりに」
高木社長「うむ。吉報を待っているよ」
332: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:41:50.82 ID:ZRhpxi3E0
高山紗代子とそのプロデューサーが渡米したのと相前後して、人気絶頂となった高山紗代子の特集誌が刊行され、たちまち売り切れとなった。特集誌のタイトルは『敗者復活のうた』。
綿密に取材され、また関係者からの証言をふんだんに盛り込んだ本となっていた。
その本は、紗代子の候補生時代から現在までのふんだんの写真と共に、こう最後が結ばれていた。
333: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:42:58.97 ID:ZRhpxi3E0
『少女はかつて、敗者だった。何も持たず、誰にも認められず、誰にも選ばれず、夢だけが支えだった』
『男もかつて、敗者だった。夢破れ、嘲笑を受け、人目を気にし、それでも夢を捨てなかった』
334: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:44:33.67 ID:ZRhpxi3E0
『2人の敗者は、出会い、手を取り合った。少女はアイドルとなり、男はプロデューサーだった』
『少女は敗者であったが故に敗北を知った。男も敗者であるが故に敗北を知っていた』
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