31: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 09:35:45.78 ID:ck9R+qDf0
データは簡単にハックでき、すぐさま展開をしてみる。
そこには紗代子を中心……いや、むしろ紗代子のみ、レッスンの様子を撮ってあった。
冒頭から最後まで、彼はそれを眺めた。
続いてもう1度、彼は動画ファイルを再生する。
黒井社長「ノン……ノン! ノン!! ノン!!! なんだこれは、これのどこが逸材なのだ!?」
32: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 09:40:13.14 ID:ck9R+qDf0
紗代子「プロデューサー、今日のレッスンいつ見るのかな……」
自室でペットのハリ子の世話をしながら、ぽつりと漏らす。
忙しい身と聞いているので、もしかしたら数日……いや、週単位の時間が経過してから連絡があるかも知れない。
33: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 09:40:45.62 ID:ck9R+qDf0
スマホが震えていた。いや、その持つ手が震える。
昨日の自分は、今日と前の日の自分の違いに驚いていた。絶望からの希望。
今日の自分は、また落胆をしていた。レッスンでの失態が、それ以上に自分の先行きに不安を感じさせていた。
それが今、不安は霧散している。
出来ないこと、失敗したことを、こうして指摘しどうすればいいかを、この人が教えてくれるんだ。言う通りにしていけば……いいんだ。
34: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 09:41:37.53 ID:ck9R+qDf0
「あら……高山さん? 今日は音程がぶれないわね」
紗代子「本当ですか!? 上達……しているんですかね」
35: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 09:42:17.63 ID:ck9R+qDf0
「では、昨日のステップのお温習いをします。1、2、3、4! 1、2、3、4! 足はそのまま右見てタン、タン、タンで左ターン!」
紗代子「足下は見ない。視線は正面……頭の中で自分の全身をイメージして……」
36: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 09:43:06.96 ID:ck9R+qDf0
レッスンの後、紗代子は呼び止められる。
最上静香「あの、少しいいですか?」
37: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 09:45:07.15 ID:ck9R+qDf0
北沢志保「うらやましい……私たちのプロデューサー、レッスンの時にはいないし、ちゃんと見ていてくれいるのか不安で……」
瑞希「時々、見に来ておられます……ですが、私も高山さんがどんな指導を受けているのかは、気になります」
紗代子「えっとね。これにまとめてるんだけど……」
38: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 09:46:03.10 ID:ck9R+qDf0
瑞希「この日記……昨日から書かれたと言われましたが」
紗代子「? うん」
瑞希「既に20ページほど、書かれています」
39: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 09:46:38.22 ID:ck9R+qDf0
静香が帰って行ったのを見届けると、一番小柄な周防桃子が口を開く。
桃子「桃子、静香さんは帰ってないって思うな」
中谷育「え? 失礼しますって行って出ていったのに?」
40: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 09:50:25.10 ID:ck9R+qDf0
桃子「なんというのかな……心配になっちゃったんだと思うな」
紗代子「?」
瑞希「高山さんは、着実に実力をつけておられる上、その方途も持っておられます。私や他のみなさんは、心配になってきたのです。自分は壁にぶつかったらどうすればいいのか……と」
41: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 09:50:57.57 ID:ck9R+qDf0
それぞれが去った後、紗代子は軽く頷くと言った。
紗代子「私も、もう一回レッスン場に行こうっと!」
昨日よりも今日は、がんばれた。
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