高山紗代子「敗者復活のうた」
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263: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 16:54:15.76 ID:ZRhpxi3E0

 来客用のベッドに横になりながら、それでも瑞希は紗代子が心配だった。
 紗代子の家族は心配していなかったが、あれだけの精神的なショックを受けて、それでも一晩で立ち直れるものだろうか。
 いや、もし立ち直れなかったとしたら、紗代子はアイドルをやめてしまうのではないだろうか。

 その想像は、瑞希の胸を悲しみの棘で刺した。
 彼女にとって、紗代子は単に親友というだけではない、同僚のアイドルだけでもない。
 紗代子の努力と、その諦めない熱意でここまで来る様を間近に瑞希は見てきたのだ。
 それは美しいだけの道程ではなかった。時に涙を流し、もがくように苦しみながら歩んできた茨の道だ。
 それだけに、紗代子のすごさを如実に物語り、自分も影響を受けた道でもあった。

瑞希「高山さん……」

 ステージの上での、楽しそうに、嬉しそうに、輝くように歌う紗代子。
 そしてその陰で、弱い自分を必死に鼓舞し、その自分を励まし、寄り添っていた紗代子。
 2人の紗代子は、瑞希にとって。いや、765プロ全員の、今や宝物となっていた。

瑞希「やめないで……ください」


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