19: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 09:17:02.86 ID:ck9R+qDf0
紗代子「ふうー……劇場、すごい設備だったなあ。私もいずれ、あのステージに立つのかな……あ、ううん! 立つんだ。そのためにがんばらなきゃ」
わずか1日、昨日と今日で目指す目標が全然違う。
昨日の自分は、夢との決別を悩んでいた。
20: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 09:19:36.70 ID:ck9R+qDf0
小鳥「全部紗代子ちゃんの才能……あ、ごめんなさい、馴れ馴れしく呼んじゃって」
紗代子「あ、いいんですよ。765プロの人にそう呼んでもらえると、本当に自分もその一員になれたんだ、って思えますし」
小鳥「そう? じゃあ、これからも紗代子ちゃんって呼ばせてもらうわね。それで紗代子ちゃんの担当プロデューサーさんなんだけど」
21: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 09:20:52.47 ID:ck9R+qDf0
紗代子「ええ、私はそれで構いませんけど、海外の仕事でお忙しいのに 私のレッスンまで目を通してもらってなんだか悪いですね」
小鳥「まあ……そこは気にしなくてもいいと思うわ」
紗代子「え?」
22: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 09:21:49.97 ID:ck9R+qDf0
小鳥「なにかしら?」
紗代子「ありがとうございます……って、伝えていただけますか」
小鳥「……それはプロデューサーさんからの連絡に、直接した方がいいと思うわ」
23: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 09:22:41.44 ID:ck9R+qDf0
件名は『プロデューサーより』となっており、さっそく本文を開いてみる。
『これはビジネスだ』
それが最初の一文だった。
『君は本来、合格者ではない』
24: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 09:24:23.81 ID:ck9R+qDf0
そうだ、明日からアイドルになる本当のレッスンが始まるんだった。
まだ自分は、アイドルとして何者でもない。ただ、アイドルになる道が、見えただけだ。
紗代子はメールに返信した。
『高山紗代子です。オーディションで私を見つけ、そして選んでくださったこと、本当にありがとうございます。私、一生懸命がんばります。どうかよろしくお願いいたします』
25: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 09:25:09.34 ID:ck9R+qDf0
瑞希「高山さんは……スポーツの経験は、あるのですか?」
紗代子「ううん。マネージャーはやってたんだけど、自分が身体を動かす何かをするのは初めてかな。瑞希ちゃんは?」
26: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 09:25:58.17 ID:ck9R+qDf0
紗代子「瑞希ちゃん、やっぱりすごいね。ステップの足運び、とっても軽やかだったよ」
瑞希「ありがとうございます……ええと、その……高山さんも……」
紗代子「あ、いいのいいの。無理に褒めようとしてくれなくても。うん……わかってる。私、全然なにも出来てなかったよね」
27: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 09:26:33.81 ID:ck9R+qDf0
初レッスンは、散々だった。声の出し方から注意を受けた。音程が不正確な上、声も出ていないと言われた。
ダンスのステップも、足がもつれて転んでしまった。それも3回。
最初から何もかもできるわけはないと思ってはいたが、こんなに何もできないのは自分でもショックだった。
そして紗代子は、ちらりとカメラに目をやる。
レッスンの間中、ずっと自分たちを撮っていたカメラだ。いや――
28: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 09:31:25.19 ID:ck9R+qDf0
『黒井社長は覗いていた』
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