23: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 09:22:41.44 ID:ck9R+qDf0
件名は『プロデューサーより』となっており、さっそく本文を開いてみる。
『これはビジネスだ』
それが最初の一文だった。
『君は本来、合格者ではない』
続く言葉も、厳しい内容が続き、思わず紗代子は身を固くする。
『あらゆる面で、君は基本的な基準を満たしてはいない。だが……』
そこまで読んで、昨日の自分が帰ってくる。
絶望の底で、全てが否定され、明日という夢を見る権利も無くした、そんな自分が本来の自分なのだ。そう、昨日と今日とで自分は何も変わっていない。昨日の絶望は、何も変わらず厳然として目の前にいる。
『君には将来性がある。少なくとも――私はそう感じた』
そう、だからこそ自分は、この救いの手に感謝をしている。昨日の自分を、今日の自分にしないように。
『今後、レッスンに私が目を通し、都度都度指示を与える。こういうやり取り故に、細かな質問や疑問は一切受け付けない』
紗代子は頷いた。もとよりそのつもりだ。
自分を信じてくれたこの人を、自分も信じよう。そう思っていた。
『私の指示にさえ従えば、君もトップアイドルになれる。明日からのレッスン、がんばるように』
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