83: ◆hhWakiPNok[saga]
2019/12/28(土) 14:31:12.76 ID:G9OiTGlK0
伸びのある歌声、響く声質、そして力強い歌い方。
すべてに観客は驚き、そして興奮した。
その証拠に蓮実が歌い終わると、客層からか観客は静かにしかし一斉に蓮実に歩み寄った。
「お名前は?」「アイドルなの?」「Sちゃんとのご関係は?」次々と発せられる質問に、蓮実は戸惑っている。
と、見ればステージ袖から、Sが不安そうにステージをのぞき込んでいる。
84: ◆hhWakiPNok[saga]
2019/12/28(土) 14:32:52.87 ID:G9OiTGlK0
P「まだあんなに騒がれた経験がないんだ、あの娘は。どうしていいかわからなくて困ってるんだよ、なあ頼む」
ちょっと考えていたSだったが、俺の目を見てハッとしたようにしてから笑う。
S「そう……じゃあ、しょうがないわね」
85: ◆hhWakiPNok[saga]
2019/12/28(土) 14:33:23.05 ID:G9OiTGlK0
S「なに歌おうか?」
蓮実「あ、私『抱きしめたい! ミス・シンデレラ』が大好きなんですけど」
S「あら嬉しい。でもあの曲、私の歌の中ではあんまり売れなかったのよね」
86: ◆hhWakiPNok[saga]
2019/12/28(土) 14:35:07.11 ID:G9OiTGlK0
俺に言われてSはしばらく考えていたようだが「あ!」とひとこと言うと、頬を膨らませてそっぽを向く。
S「……プロデューサーさんが、ウソをついたからです」
P「は?」
87: ◆hhWakiPNok[saga]
2019/12/28(土) 14:36:04.93 ID:G9OiTGlK0
S「担当を外れる!? プロデューサーさんがですか!?」
P「そうだ。Sのお陰で、俺も昇進することになった。この俺が部長だとよ。まあ今後は後進の指導や、経営やらをやることになるな」
88: ◆hhWakiPNok[saga]
2019/12/28(土) 14:36:35.62 ID:G9OiTGlK0
P「もしかして、ウソって言うのは……」
S「プロデューサーさん、私が最後に担当するアイドルだ、って言ったじゃないですか〜。それなのに……それなのに〜!!!」
大泣きを始めるSを前に、俺は膝から崩れそうになる。
89: ◆hhWakiPNok[saga]
2019/12/28(土) 14:38:12.11 ID:G9OiTGlK0
P「結果として嘘をついた形になったのは、本当に申し訳ない。だがS、忘れてはいないか? 俺が言ったこと」
S「え? プロデューサーさんの言った……こと?」
P「いつか言ったよな。プロデューサーは担当となったアイドルの為に、親身になる。家族以上に、と」
90: ◆hhWakiPNok[saga]
2019/12/28(土) 14:39:03.97 ID:G9OiTGlK0
S「そうか……そうね、そうよね。同じプロデューサーさんの担当なんだから、蓮実ちゃんは私の妹も同然よね!!!」
蓮実「え? ええーっと……そう、なるんでしょうか……?」
P「そ、そうだとも! そういうことだ!!」
91: ◆hhWakiPNok[saga]
2019/12/28(土) 14:39:38.26 ID:G9OiTGlK0
S「70年代や80年代のアイドルより昔の歌、歌ったことはある?」
蓮実「え? す、少しならありますけど」
S「不勉強ね」
92: ◆hhWakiPNok[saga]
2019/12/28(土) 14:40:43.44 ID:G9OiTGlK0
S「どんな娘が、私の大事なプロデューサーさんの、止まった時を動かし始めたのか、ってね」
ウインクしながら、Sは蓮実の手を取った。
S「信じなさい。あなたには、止めた時を動かす力がある。そう、時計は止まることもある。そしてその針は、再び動き出したとしても、もう戻らない。時代は流れ、変わっていくもの……だけどね」
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