喜多見柚「フライバイ」
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64: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:50:19.36 ID:yU6CR/tX0





 公演直前のレッスンルーム。

 スピーカーからの音楽がゆっくりと小さくなっていく。ベテトレさんがぱんと手を叩いて、それを合図にみんなが曲終わりのポーズをやめる。悠貴チャンも肇チャンも美世サンもアタシも流れ落ちる汗をぬぐうより先に、その口からどんな言葉がでてくるのかを見つめる。

「前よりもっと、もっと良くなった」

「……やったーっ♪」

 アタシは安心してその場に座り込んでしまう。今度はその言葉が嘘偽りのないものだってことは、ベテトレさんの表情で疑うまでもなかった。練習を増やしたわけでもないし、前よりもっとマジメになったわけじゃない。ただ、誰かを楽しませたいなーって強く思うようになっただけ。マジメと楽しいが逆転しただけ。

 ミスやズレは減らなかった。でもみんなのサポートとアタシのアドリブがずっと光り輝くようになった。


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