【モバマス】クリスマスとケーキとアイドルの話
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2:名無しNIPPER
2019/12/24(火) 12:09:42.72 ID:x2niqiOD0
コンコンと車の窓を叩く音でまどろみから覚める。

「お待たせプロデューサーさん、じゃよろしくね」

どうやら他のアイドル達とのプレクリスマスは終わったらしく見れば周囲もぞろぞろと歩いていくアイドルの姿が見える。

「周子は他の連中と一緒に帰らなくてよかったのか?」

他の子達は途中まで一緒に電車や誰かの運転する車で帰ったりしているのにこいつだけは自分に送るように依頼してきた。

勿論車を出して送ることは吝かでもないし、こっちも明日は忙しいがクリスマスイブの前日なら多少の余裕もあるので快諾したのだが。

「ん、まあ明日は仕事で忙しくなるしせっかくだからクリスマスイブぐらいはプロデューサーさんとも仲を深めようと言う訳で」

「本心は?」

「絶対物足りないと思ってたので何か奢ってください」

「ま、知ってた。ちょっと日が変わる前に帰りに寄りたいところがあるからスーパーでもいいか?」

「ほうほう、プロデューサーさんは未成年のアイドルを連れたまま午前様で帰そうと」

「ちげえよ、ちょうどここから寮への道にスーパーと俺の実家があるんだよ」

「まさかプロデューサーさん、いきなりアタシをご両親にご紹介しようと!?」

「お前会ったことあるだろ……そうじゃなくて俺の母親にクリスマスイブにケーキ届けるんだよ」

「ケーキ?」

「クリスマスケーキといえばケーキ屋さんで買ったりすることも多いが知人が働いてるスーパーで毎年1つだけケーキ頼んでるんだ」

「なんか意外だね。普通ならケーキ屋さんとかのケーキを届けてそうなもんだけど」

「バタークリームって一昔前のまだ生クリームが主流じゃなかった頃のケーキがあってな。今どき専門店でもないとなかなかな」

「ほうほう、それがスーパーでは売ってるから毎年買っていると。つまりプロデューサーさんのお母さんが好物だと」

「そういうこと。俺も昔実家に住んでた時は食ったりしたがどうしてもくどくてなあ……」

「そういうことなら仕方ない。シューコちゃんは一人寂しくプロデューサーさんを待ってるとしましょう」

ニヤニヤとしながら寂しがるような不思議な声色でそんなことを言いながら助手席で持ってきたプレゼントを開封し始める。

「そういやプレゼント交換みたいなのしたんだ?」

「そうそう、正確には事前に事務所で籤引きして誰が誰にプレゼントするみたいな感じになったけどね」

「あんだけ人がいっぱいいたら大変だろうしなあ。で、お前さんは誰から?」

「んー、志希ちゃんからだよ。ほら、香水だってさ」

そう言いながら何故か2つ、どこか青藍に近い色の液体が入った小さな小瓶と紅色を髣髴とさせる色の小瓶を見せつけてくる。

「片方は何々……しゅーこちゃんをイメージした香水だよ。もう1つはにゃははーしゅーこちゃんが喜ぶ香りをイメージしたにゃー」

「相変わらず自由奔放な娘なこって……車の中では使わんでくれよ。あんまり香水って好きじゃないんだ」

「そうだねー、とりあえず後で寮に帰ったら試してみることにするよ」

「そろそろ、到着するけどもうすぐ閉店だからあんまり残ってないかもな。金だけ渡すからなんか適当に食べたいもの買っておいてくれ。俺はケーキ貰ってくる」



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