89:名無しNIPPER[saga]
2020/01/01(水) 17:58:46.04 ID:12PeC/pS0
「警部殿、言われた通り二人を集めましたよ。」
右京は伊丹、芹沢に頼んでまだ取り調べ中の治と信代を同じ部屋へ集めた。
部屋にいる二人とも事件解決に導いた右京をまるで親の敵かのように睨みつけていた。
「あれ?冠城はどうしました。」
「彼は別行動を取っています。それよりも彼らは自供したのですか。」
「一応はしましたよ。主犯は女房の方だってことになりました。」
右京も初枝から事件の発端を聞かされていたがじゅりを連れ帰ったのは確かに治だ。
しかしじゅりを家に匿ったのは信代の意思であること。
それは他の家族たちも証言していた。
「だからこの事件は女房が主犯って供述が取れました。本人も犯行を認めています。」
伊丹が事件の顛末を語ったがどうやら今回の誘拐は信代が主犯であり他の家族たちは巻き込まれた形という結果で終わらせるつもりらしい。
それは信代の意思も組まれているのだろう。
何故ならここで治まで逮捕されたらどうなるだろうか。
以前に治は正当防衛とはいえ殺人を犯した。そして今回の事件。
ゆりの誘拐事件だけでなく初枝の死体遺棄まで行っていた。
検死の結果、初枝の死は自然死だった。だが死体遺棄は罪が重い。
前科がある以上、逮捕されたら刑期はかなり長期間になるだろう。
だからこそ信代は治を守ろうとした。かつて自分の身を守ってくれた愛しい男のため…
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